子どもの親権をめぐる問題

2016/9/10
 近年、国際結婚のカップルが増えてきています。そうした流れは、日本とカナダの間でも同様で、当館領事窓口にも国際結婚の届出、日加間のカップルの間に誕生した子どもの出生届のため来訪される方がたくさんいらっしゃいます。
 
 しかしながら、その一方で、結婚生活で困難に直面したそれぞれ国籍の異なる父または母のいずれかが、居住地の法律を顧みることなくもう一方の親の同意なしに子どもを連れ去り、問題になるケースも発生しています。結婚生活が困難となり、離婚に直面する事態となったとき、子どもをどうするのか、特に将来にわたって子どもの養育と監護をどちらが行うのか、といった問題は常に発生してきます。
 
 今回は、特にカナダに居住される日本の親御さんにとって、子どもとの関係、子どもを連れての移動についてぜひ留意していただきたい点を述べたいと思います。
 
1.実子誘拐罪の適用
 
 カナダや米国の国内法では、父母のいずれもが親権または監護権を有する場合に、または、離婚後も子どもの親権を共同で保有する場合、一方の親が他方の親の同意を得ずに子どもを連れ去る行為は、重大な犯罪(実子誘拐罪)とされています(注)。
 
 例えば、カナダに住んでいる日本人の親が、他方の親の同意を得ないで子供を日本に一方的に連れて帰ると、たとえ実の親であってもカナダの刑法に違反することとなり、これらの国に再渡航した際に犯罪被疑者として逮捕される場合がありますし、実際に、逮捕されるケースが発生しています。
 
 国際結婚した後に生まれた子どもを日本に連れて帰る際には、こうした事情にも注意する必要があります。
 
(注)
カナダ:14歳未満の子の連れ去りの場合、10年以下の禁錮刑等を規定(刑法第282、第283条)。
米国:16歳未満の子の連れ去りの場合、罰金若しくは3年以下の禁錮刑又はその併科を規定(連邦法Title 18, Chapter 55, Section 1204)。州法により別途規定がある場合もある。

2.未成年の子どもの旅券申請
 
 未成年の子どもに係る日本国旅券の発給申請については、親権者である両親のいずれか一方の申請書裏面の「法定代理人署名」欄への署名により手続を行っています。
 
 ただし、旅券申請に際し、もう一方の親から子どもの旅券申請に同意しない旨の意思、表示があらかじめ在外公館に対してなされているときは、在外公館は当該申請が両親の合意による旅券申請であることを確認しております。この場合、在外公館では、通常、子どもの旅券申請について不同意の意思表示を行った側の親が作成(自署)した「旅券申請同意書」(書式自由)の提出をお願いしています。」
 
 
3.家庭問題に関する相談はお早めに関係団体・機関へ
 
 日本人の親の中には、外国人の相手の方とのコミュニケーション・ギャップや価値観の違いによるストレス、虐待など深刻な事態に直面した場合の戸惑い、外国における孤独感などから、ついつい日本に子供を連れて帰ってしまおうと思われる方も多々いらっしゃるかと思います。しかしながら、そのような行動には上記で述べました多くのリスクが伴います。
 
 当地には、家庭の問題、虐待に対する人権の面からの対応を行っている団体及び機関が多くあります。
 
 また、あなたのお子さんは、相手の方のお子さんでもあります。問題の兆候が見え始めたら、速やかに各種団体・機関にご相談されることをお勧めいたします。
 
 海外で生活されますと、個人生活も含め幾多の困難に直面されることも多々あるかと思います。しかし、思いがけず法律に違反し犯罪者となってしまいますと、その後の子供との関係にも様々な支障が出てきます。円満な家庭、円満な親子関係のために、上記の点を真剣に考慮していただきますようお願いいたします。
 
 
<参考>
ハーグ条約に関するよくある御質問
https://www.mofa.go.jp/mofaj/fp/hr_ha/page22_001004.html