管轄諸州・準州の主な見どころ
令和5年11月10日
すっかり日も短くなり、ついに夏時間も終わってしまいましたね。これからは寒くなり、ウィンタースポーツやコンサートや演劇等を楽しむ季節になりますが、来年の夏はどこに行こうかと考えて見るのも良いかもしれません。
連載第5回目の今日は、在カルガリー日本国総領事館が管轄する3州(アルバータ州、サスカチュワン州、マニトバ州)、2準州(北西準州、ヌナブト準州)の見所について書こうと思います。何が好きかは人それぞれで、「蓼食う虫も好き好き」とのことわざもあるくらいですが、少しでも読者の皆さんの参考になれば幸いです。
アルバータ州西部には壮大なカナディアンロッキーが連なり、その山麓の先にはアルバータ州、サスカチュワン州、マニトバ州まで広大な大平原が広がっています。そのスケールの大きさは圧巻です。
カナディアンロッキーに名所はたくさんありますが、一番のおすすめはアイスフィールズ・パークウェイでしょう。有名なバンフの北、レイクルイーズからジャスパーまでの約230km。カナディアンロッキーの峰々、いくつも氷河を眺めながら、爽快なドライブを楽しむことができます。
バンフやジャスパーでなくとも、カナナスキスのあたりは秋の黄葉がきれいですし、南に下ったウォータートンでもカナディアンロッキーの素晴らしさを堪能できます。
他方、広大な大平原の東、マニトバ州ハドソン湾岸のチャーチルは、夏季は北極熊観光で人気の場所であり、自然の中で白熊などの野生動物を見たい方にはお勧めです。
高緯度に位置する北西準州とヌナブト準州は自然がとても厳しいところですが、夏季にはカヤックや犬ぞり、冬季には幻想的なオーロラ(特に北西準州のイエローナイフ)等、極北の地ならではの体験を楽しむことができます。
アルバータ州ドラムヘラーのロイヤルティレル古生物学博物館(右写真)やサスカチュワン州リジャイナのロイヤルサスカチュワン博物館などでは、恐竜を始めとする多くの古生物の化石を見ることができます。特に、ロイヤルティレル博物館のコレクションは圧巻です。
なお、バイソンは19世紀の乱獲により絶滅寸前まで追い込まれましたが、アルバータ州エドモントン近郊のエルクアイランド国立公園で保護され繁殖したバイソン(下写真)は、近年アルバータ州のロッキーマウンテンハウス、バンフ近郊、ウォータートン等に送られ、昔の生態系に少しでも近づける努力が行われています。
1つは「カルガリースタンピード」。100年以上の歴史を持つロデオを中心とした夏の祭典で、主催者はこれを「The Greatest Outdoor Show on Earth」と銘打っています。カルガリーの7月の風物詩であり、来場者は毎年延べ100万人以上。スタンピードを名乗る祭典は他にも多くありますが、カルガリースタンピードに勝るものはありません。この時期にカルガリーに来られるのであれば是非。
現在カナダには、ユネスコの世界遺産リストに掲載されているサイトが22あり、うち、次の8つが当館管内にあります。いくつかは紹介済ですが、改めて全てを紹介します。
連載第5回目の今日は、在カルガリー日本国総領事館が管轄する3州(アルバータ州、サスカチュワン州、マニトバ州)、2準州(北西準州、ヌナブト準州)の見所について書こうと思います。何が好きかは人それぞれで、「蓼食う虫も好き好き」とのことわざもあるくらいですが、少しでも読者の皆さんの参考になれば幸いです。
(大自然を楽しむ)
カナディアンロッキーに名所はたくさんありますが、一番のおすすめはアイスフィールズ・パークウェイでしょう。有名なバンフの北、レイクルイーズからジャスパーまでの約230km。カナディアンロッキーの峰々、いくつも氷河を眺めながら、爽快なドライブを楽しむことができます。
バンフやジャスパーでなくとも、カナナスキスのあたりは秋の黄葉がきれいですし、南に下ったウォータートンでもカナディアンロッキーの素晴らしさを堪能できます。
他方、広大な大平原の東、マニトバ州ハドソン湾岸のチャーチルは、夏季は北極熊観光で人気の場所であり、自然の中で白熊などの野生動物を見たい方にはお勧めです。
高緯度に位置する北西準州とヌナブト準州は自然がとても厳しいところですが、夏季にはカヤックや犬ぞり、冬季には幻想的なオーロラ(特に北西準州のイエローナイフ)等、極北の地ならではの体験を楽しむことができます。
(恐竜を始めとする古生物)
カナダ西部の大地には、その長い歴史において恐竜を含む多くの古生物が生息し、造山運動によるロッキー山脈の形成と氷河による土地の浸食が現在の地形、及び現在見られるアルバータ州、サスカチュワン州の豊富な化石燃料資源を生み出しました。
アルバータ州ドラムヘラーのロイヤルティレル古生物学博物館(右写真)やサスカチュワン州リジャイナのロイヤルサスカチュワン博物館などでは、恐竜を始めとする多くの古生物の化石を見ることができます。特に、ロイヤルティレル博物館のコレクションは圧巻です。
なお、ドラムヘラーを中心とするあたりには「バッドランド」と呼ばれる荒涼とした土地が広がっており、一風変わった地形の中でハイキング等を楽しむことができます(右写真は、雨の日のホースシュー(蹄鉄)峡谷)。
(先住民の足跡)
各州には、先住民の方々の祖先が残した遺跡も多く残っています。その筆頭は、先住民がバイソン(バッファロー)の群れを追い落として狩りをした断崖。各地に遺跡がありますが、最も有名なのはアルバータ州南部のヘッド・スマッシュド・イン・バッファロー・ジャンプ(右写真)です。
また、アルバータ州の米国境近くのミルク川渓谷には、先住民が残した壁画ライティング・オン・ストーン(右写真は戦いの場面の一部)も残されています。
なお、バイソンは19世紀の乱獲により絶滅寸前まで追い込まれましたが、アルバータ州エドモントン近郊のエルクアイランド国立公園で保護され繁殖したバイソン(下写真)は、近年アルバータ州のロッキーマウンテンハウス、バンフ近郊、ウォータートン等に送られ、昔の生態系に少しでも近づける努力が行われています。
(カルガリー)
最後に、当館はカルガリーに所在していますので、カルガリーと言えば忘れてはならないものを2つご紹介します。1つは「カルガリースタンピード」。100年以上の歴史を持つロデオを中心とした夏の祭典で、主催者はこれを「The Greatest Outdoor Show on Earth」と銘打っています。カルガリーの7月の風物詩であり、来場者は毎年延べ100万人以上。スタンピードを名乗る祭典は他にも多くありますが、カルガリースタンピードに勝るものはありません。この時期にカルガリーに来られるのであれば是非。
もう1つは、「シーザー」と呼ばれるカルガリー生まれのカクテル(ウォッカベース)。ウィキペディアによれば、1969年にカルガリー・イン(現在のウェスティン)にあったレストランのマネージャー、ウォルター・チェル氏が考案したものだそうです。少し癖がありますが、カルガリーではどこにでもあるカクテルなので、店ごとに飲み比べてみるのも面白いかもしれません。
(参考)
現在カナダには、ユネスコの世界遺産リストに掲載されているサイトが22あり、うち、次の8つが当館管内にあります。いくつかは紹介済ですが、改めて全てを紹介します。
- ナハニ国立公園保護区(Nahanni National Park Reserve) 北西準州、1978年登録。ナハニ川は、北米で最も素晴らしい原生河川の一つ。ナハニ国立公園で見られる主要な地質学的・地形学的特徴は地質学的プロセスの組合せを示しており、地球全体を見ても他に類のないもの。
- 恐竜州立公園(Dinosaur Provincial Park) アルバータ州、1979年登録。7,500万年前、現在の東アルバータは大きな浅い海のほとりの低地であり、約35種の恐竜を含む無数の生物が繁殖していた。現在「バッドランド」と呼ばれるこの土地は24kmにわたって伸び、厳しくも格別な自然の美しさを見せている。
- ヘッド・スマッシュド・イン・バッファロー・ジャンプ(Head-Smashed-In Buffalo Jump) アルバータ州、1981年登録。北米大平原に住む先住民は、多くのバイソン(バッファロー)を殺すために「バッファロー・ジャンプ」を使っていた。その中で最大、最古、かつ最も良く保存されているのがヘッド・スマッシュド・イン・バッファロー・ジャンプである。)
- ウッド・バッファロー国立公園(Wood Buffalo National Park) アルバータ州及び北西準州、1983年登録。ウッド・バッファロー国立公園はカナダ最大の国立公園。季節により移動する生物がこれほど集中している場所は稀であり、この国立公園は、北米の大平原=北方草原エコシステム全体の中でも、生態学的に見て最も完全で大規模な例をなしている。
- Canadian Rocky Mountain Parks アルバータ州(及びブリティッシュコロンビア州)、1984年登録。カナディアンロッキー内の7つの公園が含まれており、印象的な山岳風景を見ることができる。
- ウォータートン-氷河国際平和公園(Waterton-Glacier International Peace Park) アルバータ州(及び米モンタナ州、1995年登録)。1931年、アルバータ州と米モンタナ州のロータリークラブが、アルバータ州のウォータートン・レイク国立公園とモンタナ州の氷河国立公園を一体とした、ウォータートン-氷河国際平和公園の設立を提案。そのような公園設立は初めてのものだった。
- ピマチオウィン・アキ(Pimachiowin Aki) マニトバ州(及びオンタリオ州)、2018年登録。大規模で手つかずの北方林エコシステムが先住民管理の下で維持されている。
- ライティング・オン・ストーン(Writing-on-Stone / Áísínai’pi) アルバータ州、2019年登録。ミルク川渓谷沿いの崖の表面に、先住民が描いた200超の壁画が発見されている。