日本と平原諸州の関係が学べる場所
令和5年12月11日
これまで日本と平原諸州の関係について色々書いてきましたが、連載第10回目となる今回は、お浚いの意味も込めて、日本と平原諸州の関係が学べる場所をまとめてご紹介しようと思います。
なお、現在大規模改修のため閉館中ですが、カルガリーのグレンボウ博物館は、カナダでは有数の日本の甲冑・刀剣類のコレクションを誇るのみならず、南部アルバータ等の日系人コミュニティーから寄贈された仏像・仏具等も多数所蔵しています。大改修を経て、同博物館が日系人や日本関係の展示を増やしてくれることを期待しましょう。同博物館の再開は、今のところ2026年が予定されています。
1. 初期の日本から平原諸州への移民
- 日加友好日本庭園(レスブリッジ)のThe Bunka Centre
初期の日本からアルバータ州南部等への移民の歴史、友好庭園と日本の関わり等についての展示、さらには、レスブリッジの姉妹都市である沖縄県南風原町から寄贈されたシーサーの展示があります。(連載第1回「アルバータの二つの日本庭園(日本とカナダの友好のシンボル)」ご参照。)
- フォートカルガリー 20世紀初頭に開カルガリーで開業した日本商店等に係る展示(右写真)があります。(連載第2回「平原諸州への日本人移民事始め」ご参照。)
2. カナディアンロッキーと初期の日本からの訪問者
- ジャスパー・イエローヘッド博物館
1925年、日本の登山隊が、当時カナディアンロッキー唯一の未踏峰だったアルバータ山の初登頂を果たしました。彼らがその時山頂に残したピッケル等が展示されています(右写真)。また、1982年にジャスパーの姉妹都市箱根から寄贈された鱒の剥製も展示されています。(連載第3回「19世紀末から20世紀初頭にかけてカナディアンロッキーにやって来た日本人」ご参照。)
3. 第一次世界大戦と日系人
- 軍事博物館(カルガリー)
第一次世界大戦中カナダ遠征軍に参加し欧州戦線で戦った日系人義勇兵(「第十大隊日系義勇兵」)の展示(右写真)があります。(連載第6回「リメンブランス・デーに際して」ご参照。)
4. 第二次世界大戦と日系人、及び日本とカナダの戦い
(連載第8回「日本とカナダの関係が最も厳しかった時代(決して忘れてはならない歴史)」ご参照。)- ハンガー・フライト博物館(カルガリー) 第二次大戦中に日本軍が開発し実戦投入した、気球に爆弾を搭載した「ふ号」兵器(通称「風船爆弾」)の実物が展示されています(カルガリーの軍事博物館にも、風船爆弾について説明するパネルが置かれています)。
- 軍事博物館(カルガリー。前掲) 第二次世界大戦中沖縄県先島諸島付近で日本の零戦による神風攻撃を受けた英空母「フォーミダブル」の写真、同艦に艦載機乗りとして乗艦し、終戦直前の宮城県女川湾での攻撃で戦果を挙げつつも戦死されたロバート・ハンプトン・グレイ大尉ブリティッシュコロンビア州トレイル生まれ。1940年にカルガリーで入隊)に係る展示があります。
5.1988年のリドレス合意
- カナダ人権博物館(ウィニペグ)
第二次世界大戦に際し日系カナダ人に対して適用された戦時措置について連邦政府に謝罪を求め、1988年にリドレス合意を達成した日系カナダ人についての展示があります(右写真)。(連載第8回「日本とカナダの関係が最も厳しかった時代(決して忘れてはならない歴史)」ご参照。)
なお、現在大規模改修のため閉館中ですが、カルガリーのグレンボウ博物館は、カナダでは有数の日本の甲冑・刀剣類のコレクションを誇るのみならず、南部アルバータ等の日系人コミュニティーから寄贈された仏像・仏具等も多数所蔵しています。大改修を経て、同博物館が日系人や日本関係の展示を増やしてくれることを期待しましょう。同博物館の再開は、今のところ2026年が予定されています。