Japanese Business Showcase【Redheads Japa Cafe】

令和8年5月30日
アルバータ州カルガリーで日本食レストラン「Redheads Japa Cafe」を経営する黒澤知之さんにお話を伺いました。
インタビューの様子は当館のInstagramまたはFacebookからもご覧いただけます。

店舗紹介

Redheads Japa Cafe
638 11 Ave SW, Calgary, AB T2R 0E2, Canada
https://redheadscafe.com/

インタビュー

Q. お店のコンセプトや大切にしている雰囲気は?
A. コンセプトは、16年前の創業当初からズバリ「日本の日常食とご当地グルメ」です。日本のものをなるべくアレンジせずに提供することを心がけています。お店を始めるにあたって、なにかの専門店での展開を考えましたが、当時のカルガリーではお客様が食べたことのないインターナショナルフードで成功するとは思えなかった為、買い取ったRedheads Bagel Cafeをそのままの形で営業開始しました。ベーグルとベーグルサンド、そしてスープにコーヒーというもともとあった商品に、寿司やカツサンドなどを足していき、週末に内装のリフォームを行いながら営業していました。並行してカルガリー動物園のカフェテリアへ寿司パックのケータリングを行っていたので、3年以上は朝4時に起きて寿司を作り配達し、7時半からお店を営業する生活を送っていました。お店の雰囲気は、日本の気の利いた個人店やおしゃれなカフェを参考にしました。出費を抑えないとスタッフを守っていくことが出来ないと思うと暗中模索でしたが、私個人の想いとセンスに加え、KAEDE HOME RENOVATION創業前のKojiさんに全面的に助けてもらい、数年かけて内装を変化させました。カレーライスの提供を始めてからは、カレーとサンドウィッチが看板商品の店に変化していきました。その後酒類販売業免許を取得し夜の営業を始めました。日本企業や日系人の各種宴会やケータリング、各地の県人会などの開催依頼もお受けました。食べたことのないご当地グルメを、ネットの情報のみで再現するのは大変でしたが、その後のメニュー開発にとても役立ちました。
Q. 人気メニューは何ですか?
A. ダントツでカツカレーです。次に唐揚げカレー、続いてカレーラーメンです。
夜は唐揚げや串カツなどの小鉢料理が人気です。当店ではジャパニーズタパスからの造語で「JAPAS」と呼んでいます。
カレーは、寸胴鍋で約60食分を毎日一度から二度仕込みます。カレーライスは週に300食以上提供しています。当店のカレーは、販売当初は日本の家庭スタイルでしたが、途中でレストランスタイルに変更しました。これは牛肉や豚肉が食べられない方やベジタリアンの方など、様々なお客様の声に対応するためです。開発には何年もかかりましたが、当店の限られた設備の中で先を見据えたときに、レストランスタイルのカレーが最適解だと信じて変更しました。しかし、これによってカレーファンの一部を失ったことも事実です。「前のほうが良かった」「日本でこのスタイルのカレーは見たことが無い」「オーナーが変わったのではないか」などのレビューが付きました。心が痛みましたが、結果的には販売数も売上も向上しています。トッピング次第では以前の味わいにも近づきます。今後もお客様の理解を深める努力を惜しまず、ますます売れる商品にしていこうと考えています。
Q. 食材や調理法でこだわっている点は?
A. 原価を考えて、開業当初からなるべく生魚を使わないようにしています。そこは寿司店さんへお任せして、私たちは日本の国民食であるカレーやラーメンなどを扱いたいと考えました。お酒も、高級なものよりお買い得なものを扱うようにしています。すぐには売り上げにつながらないこともありましたが、なるべくロスを出さずに、時間をかけて定着するよう試行錯誤してきました。 また「気の利く、毎日利用したくなる店」を目指すうえで、提供スピードが大切だと思っています。注文を受けた後に一から作りたい気持ちは山々ですが、カツも唐揚げも二度上げが必要な料理なので、あえて揚げ置きし、提供直前にもう一度揚げることで揚げたてをスピーディーに提供しています。味のこだわりとは相反しているように見えるかもしれませんが、これは「スピードも味のひとつ」というこだわりです。
Q. カナダで事業を始めようと思った理由は?
A. 高校卒業から16年間旅行業に携わっていたので、もともとは旅行業での独立を目指していました。しかし年齢などを踏まえて将来を見据えたときに、飲食業での起業が最適だと考えました。カナダで日本人経営の現地手配会社で10年働いた経験や、カナダにいる先輩や上司の存在、そしてなによりも「カナダに住みたい」という妻の希望を叶えるためにカナダで事業をはじめることを決意しました。

Q. 仕事の中で一番嬉しかったことは?
A. 正直、雲泥の差で苦しいことのほうが多く、辛かったことは語り尽くせません。勿論、「美味しかった」「楽しかった」「気が利いていた」などと言われることは嬉しいですし、毎回ほぼ徹夜で仕上げている、様々なケータリング提供の場面で褒めていただいたり、喜んでいただいた時もすごく嬉しいです。しかし、商売は長いマラソンのようなもので、何かしらのゴールをしたときに一番嬉しいと感じるのではないかと思っています。
Q. カルガリーでビジネスを続けて感じることは?
A. カルガリーでビジネスを始めてよかったと考えています。どんな地域でも、立地と顧客層に合わせたマーケティング方法があると思います。カルガリーはカナダの中での一等地ではないかも知れませんが、物価や人の流れ、市場規模、程よい保守さがあります。また、日本への直行便もあり、日本を訪れる人が急増していることで、日本食への理解度が年々上昇しています。オーナーである私自身が日本人であることによって、お客さんに「このお店では日本と同じものが食べられる」という解釈をしてもらえるようになったことは大きなメリットです。

Q. 日本とカナダをつなぐ存在として意識していることは?
A. 創業間もないころから、カツサンドやカツカレー、おにぎりなどを提供し続け、お客さんにも親しんでいただけるようになり、かろうじてビジネスが成り立っています。新たなものにチャレンジし続けていくことで、これまでになかった雇用が生まれ、ほんの少しづつであっても日本の文化が伝われば、このお店の存在意義があると思います。日本とカナダをつなぐ存在になれているとまでは思っていませんが、これからもチャレンジを続けていきたいです。

Q. 今後どんな形で地域とかかわっていきたいですか?
A. 続けられる限り長くお店をやっていきたいです。そしてそれが地域に関わっていくことになると思います。